ふくしネットにいざが目指すもの

 平成17年4月、「共に暮らすための新座市障がい者基本条例」がスタートし、「障がいのある人もない人も誰もが一緒に暮らせるまちをめざして」という理念が示されました。そして、市は障がい者一人一人の人権を尊重し、個々のニーズに合わせたきめ細やかな支援を行うため、「障がいのある人もない人も分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら共に暮らし、共に創る地域社会の実現」を基本目標に、平成30年度から平成35年度(令和3年度)までを計画期間とする第5次新座市障がい者基本計画並びに平成30年度から平成32年度(令和2年度)までを計画期間とする第5期新座市障がい福祉計画及び第1期新座市障がい児福祉計画を策定しました。そして、今年度は第6次新座市障がい者基本計画・障がい福祉計画・障がい児福祉計画策定に向けた取り組みが始まります。令和4年にはアンケート調査を行い、次年度には基本計画の検討が行われます。また、パブリックコメントも実施されます。冒頭でも示しましたが、基本条例の第1条には「障がい者の自立及び社会参加を促進し、もって障がいのある人もない人も分け隔てられることなく互いに人格と個性を尊重し合いながら共に暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする」とあります。この目的が具現化されるような取り組みが求められています。
さらに、社会福祉法改正により「重層的支援体制整備事業」が創設されました。この事業の背景には「これまでの福祉制度・政策と、人々の生活そのものや生活を送る中で直面する困難・生きづらさの多様性・複雑性から現れる支援ニーズとの間にギャップが生じてきたこと」(厚生労働省)と示されています。これまでの福祉制度・政策は、子ども・障がい者・高齢者といった対象者に応じたものでしたが、課題全体に関わっていくことや人と人とのつながりに着目したコミュニティでの取り組みの可能性に焦点をあてた事業です。この事業の予算化は各自治体が制度設計を行い申請することとなっています。ぜひ新座市でも取り組みを進展させてほしいと考えています。
 また、「障害者総合支援法」においても①「新たな地域生活の展開」②「障害者のニーズに対するよりきめ細やかな対応」③「質の高いサービスを持続的に利用できる環境整備」が改正のポイントとなりました。ここには、「地域福祉」という観点が示されています。
 この理念を受けつつ、「ふくしネットにいざ」においては「共に暮らすこと」「障害者の自立」「就労」を具体化するための取り組みが求められています。そのためには、利用者自身の自助資源(じじょしげん:その人自身が持っている力、得意なこと、関心など自分を助ける資源)を活かすことが必要です。また、人と人との関係性の中での変化も重要な視点となります。
 そして、よりよい支援を行うためには「支援シート」を活用し、利用者のライフステージ(年齢にともなって変化する生活段階のこと)を見通した援助の継続性が求められます。さらに、支援対象者である利用者のリソース(資源:リソースとは支援を必要とする利用者を援助するための人的環境や物的環境、または利用者自身の持つ援助につながる力のこと)を効果的に活用することも必要な観点です。
 また、障害者に関する状況の変化もあります。一つはICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)が、人間の生活機能と障害の分類法として、2001年5月、世界保健機関(WHO)総会において採択されたことです。この特徴は、これまでのWHO国際障害分類(ICIDH)がマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFは、生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、さらに環境因子等(その人にとって影響を与える外部のこと)の観点を加えたことです。 
次に「障害者の権利に関する条約」の批准(2014年1月)があります。この条約の前文では「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め」とあるように障害を社会との関係性のなかでとらえることやアクセシビリティ(近づきやすさや利用しやすさなど)の問題を示しています。
また、「教育に関する規定(第24条等)」では「インクルーシブ教育制度(inclusive education system)」と「合理的な配慮の提供(reasonable accommodation)」が示されています。また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(差別解消法)がこの条約を支える国内法として2013年6月に制定され、2018年4月に施行されました。これらの条約や法に沿って地方行政においても取組むことが求められています。
障がいがあっても地域で共に暮らすためには、福祉サービスを受け身で提供されることではなく、障がい者自身が社会参加していく意識を持てるように暮らしていくことです。
そのためには、「教育」「福祉」「医療」の連携・協働も必要となります。特に「教育」では、「障害者」を「理解」するのみではなく、「共に生きること」を基本とした福祉教育・人権教育が求められます。
これらの取り組みにおいて障害者も高齢者も「共に生きる地域生活」の具現化につながることを目指すものです。

代表理事 井ノ山 正文